カーフリーデー寓話(創作)
2005年 10月 20日
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カーフリーデー寓話(創作)松本カーフリーデーサポートサイト

谷岡さちんさん・作

「カァのまち」

あるところに、とてもとてもきれいな町がありました。
きれいに植えられた街路樹の下には、かわいいカフェが並び、香ばしいコーヒーの香りと、花壇の花の香りが、ゆったりとした時間とともに流れています。

街の人は、毎日、まるで散歩に行くようにのんびりとお仕事や買い物に出ています。

そんな街にある日、一人の行商人がやってまいりました。
彼は、それはそれは珍しい動物を連れておりました。
そして街の人に言いました。

「こいつは、“カァ”という、おとなしくて賢い動物です。
人を乗せて人の10倍速く歩きます。また、人の10倍重いものを運べます。とても便利です。皆さん、いかがですか?」

街の人たちには、そんなに速くどこかに行く必要も、重いものを運ぶ必要も、ありません。
ただ一人、珍しいもの好きのお金持ちが、一匹のカァを買いました。

お金持ちは次の日早速カァに乗って仕事に行きました。
まぁ、速い速い。歩いている人たちを追い越して、あっという間に到着です。
街の人々はうらやましくて、なんだかカァが欲しくなってきました。

行商人は、毎月、毎月街にやってきました。そのたびにだんだんカァを買う人は増え、1年後には街でカァを飼ってない人はほとんどいなくなりました。
みんなカァをひゅんひゅんと乗り回し、口々になんて便利なんだと言いました。

さて、みんながカァに乗りだすと、困ったことが起こりました。

みんな会社のまわりに乗ってきたカァを繋いだので、道が通りにくくなりました。
また、カァが勝手にたべてしまい、街路樹や花壇の花がツンツルテンになってしまいました。
それに、カァはあちこちでフンをしたので、街は汚く、臭くなってしまいました。

人々は、こんな所では散歩もしなくなりましたし、オープンカフェも、ガラガラです。
きれいだった街の面影は、もう、どこにも見つけられません。

変わってしまった街を、みんなは悲しみました。中には、便利になったのだから仕方ないという人もいました。

けれどもやはり、コレではダメだ、と思った市長さんは、ある日、『カァに決まり』を作りました。

・遠くに行くとき、大急ぎのとき、大きな荷物があるとき意外は、個人でカァに乗ってはいけない

・普段は、カァ何頭かに車を引かせた、乗り合いカァを使う。

街の人は、文句をぶぅぶぅといいましたが、市長さんは、言いました。

「確かに、カァのおかげで、街はとても便利になりました。
けれども、もともとは、カァなしで、まったく問題なくやってきたではありませんか。
もし、この決まりで、街の暮らしがとても不便になってしまったのならば、私は謝って、市長をやめます。
いえ、きっと少しは不便になってしまうでしょう。
けれど、それでも、私は、昔の、きれいな街を取り戻したいのです。
木陰のカフェで、花を眺めながら、コーヒーを飲んだりしたいんです。
どうか、分かってください」

それから、1年がたちました。
街には、緑と花が戻ってきました。
街に漂っているのは、オープンカフェの、コーヒーの香りです。
人々は、通りに面した席に座って、三頭立てのカァに引かれた車に乗っている人に、穏やかに手を振っているのでした。

おしまい。

カァのまちラフスケッチ

さちんさんのイメージ画です。クリックすると新しいウィンドウに拡大します。
カァの街イラスト設定1カァの街登場人物

人形モデル

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